プロジェクト
PROJECT | 02

社会貢献の新しい手法、
ESG投資に邁進する。

PROLOGUE

ESG投資はこの十数年ほどの間に世界的な注目を集めている投資の考え方だ。フコク生命は早い時期からESG投資に取り組んできており、その嚆矢は2004年にSRI(Socially Responsible Investment/社会的責任投資)を退職年金制度の資産運用に導入し、特別勘定においてSRIファンドを設定したことである。さらに子会社である富国生命投資顧問でもSRIファンドの運用を開始した。ESG投資は株式分野での取り組みが先行する中、2015年からは債券でも本格的にESG投資を開始し、現在その勢いはますます強まっている。

scroll

CASE | ESG投資とは?

詳しく見る

ESG投資とは財務評価に加え、企業のCSR活動について、環境・社会・企業統治という軸で評価して投資を行う手法であり、E(Environment/環境)、S(Social/社会)、G(Governance/企業統治)に注力している企業を重視・選別して行う投資のこと。

ESG課題

  • Environment 環境

    二酸化炭素排出などの地球温暖化、水不足・水質汚染、生物多様性、化学物質・廃棄物管理など

  • Social社会

    人権問題、従業員の労働管理・安全衛生、製品・サービスの安全管理、地域社会に対する責任など

  • Governance企業統治

    企業経営におけるガバナンス体制、コンプライアンス、適切な情報開示など

STORY01
公共性の高い生命保険事業を営む会社としての責任。

成江は入社5年目で有価証券部債券課に配属されて以来、運用部門一筋で仕事をしてきた。運用の中でも債券(国内債券および外国債券)を専門とし、金利変動をはじめとする数々のリスクに立ち向かってきた。
2009年からは日本政策投資銀行(DBJ)のシンガポール現地法人に出向。その一員として2年間勤務した後、シンガポールに富国生命駐在員事務所を立ち上げ、2014年にその事務所を現地法人化し、その1年後に日本に帰国、有価証券部に戻った。国内外の金融の最前線を駆け抜けてきた成江はこう語る。
「ESG投資は、もともとSRI(社会的責任投資)と呼ばれていました。フコク生命が2004年から退職年金制度の運用にSRIを導入したのも、公共性の高い生命保険事業を営む会社として、資産運用において社会的責任の視点を取り入れることは、経営理念である『社会への貢献』に合致すると考えたからです」。
企業が投資をするとき、収益性を確保することは当然だが、投資そのものによって社会に貢献し、企業としての社会的責任を果たそうという動きが高まってきたのである。そうした中、投資において、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に注目することがコンセンサスとなっていき、ESG投資という言葉が生まれた。当初、ESG投資は株式が中心であったが、次第に債券、不動産などにも応用されるようになっていった。
「私が担当する債券の世界でも、以前は金利やクレジットに注目すれば良かったものが、現在は、貧困を撲滅する、持続可能な社会に貢献するなど、さまざまなテーマの債券が続々と誕生し、それを扱うことはごく当たり前のこととなりました」。

STORY02
収益性の確保と社会貢献の両立。

日本での債券におけるESG投資は、成江がシンガポールから帰国した頃から増えてきた。「2015年3月に世界銀行が発行した『サステナブル・ディベロップメント・ボンド』への投資を行うなど、フコク生命もESG投資に力を入れ始めました」。
ESG投資は、倫理的に問題があると思われる企業への投資を避けるネガティブスクリーニングの観点から始まっている。それが時代とともに変化し、環境保全、人権重視など社会的責任を重視する企業は業績も高いことが認知され、投資家の評価を左右するようになっていった。さらに近年は国際機関から社会課題解決を目的とした債券が続々と登場してきている。
また、2016年にフコク生命は、相互会社形態の国内生命保険会社としては初めて、国連の責任投資原則(PRI)の署名機関となっている。「PRIの6原則にのっとった投融資を行うことは、お客さまからお預かりしている大切な資金の収益力向上に資すると同時に、機関投資家としての責務をより一層果たし得るものと考えています」。
ただし、重要なのはCSRと違いESG投資は社会貢献そのものではないことだ。運用にとっては収益性の確保という受託者責任を果たすことが至上命題であり、それと両立させるからこそESG投資に意味がある。

STORY03
債券の発行体に起債を働きかける。

債券分野でのESG投資は、テーマ債への投資の増加に表れている。テーマ債とは、緑化の推進、海洋汚染問題への対処、貧困撲滅など、環境や社会問題解決などの特定のプロジェクトへの充当目的が明示されて発行される債券を指す。最近の例では、「プラスチック廃棄物による海洋汚染問題」への対処を目的とする債券や「食品ロスと食品廃棄問題」への対処を目的とする債券、「ジェンダーの平等化及び女性の活躍推進」への取り組みを支援する債券などに投資している。
「いずれも私募債で、公募債に比べて流動性は劣りますが、発行体との協議により、私たちが関心のあるテーマや通貨、年限など、オーダーメイドで債券を発行してもらうことができる利点もあります。また発行体の側から、さまざまなテーマ債の提案を受けることもあります」。テーマ債の発行体は世界銀行、アフリカ開発銀行、アジア開発銀行など国際機関が多いが、こうした国際機関は設立の趣旨そのものがESGに直結している面もある。
相互会社であるフコク生命は、利益が出たらそれを配当金としてご契約者にお返しし、ご契約者の実質的な保険料負担の軽減を図っている。「運用部門の使命は、中・長期的な視座からリターンの最大化を目指すことにあります。我々が行った運用の成果は、最終的に配当金という形でお客さまに還元されますので、その点、やりがいも責任も大きい仕事です。当然ですが、運用パフォーマンスの向上は当社の財務力向上にも貢献するので、お客さまの当社に対する信頼感の醸成にもつながっていくものと考えます」。
「また、今後のESG投資という点では、当社のCSR活動と親和性のあるテーマにも意識的に投資していきたいと考えています。当社は、経営理念の一つである『社会への貢献』を実現する施策の一環として、『フコク生命 訪問&チャリティコンサート』など、かねてより『障がい者』の支援活動に積極的に取り組んできました。また、当社は今から50年以上前に『がんの子どもを守る会』への寄付を行っています。小児がんの早期発見と治療体制の法人化を訴える運動が各地で起こっていた時代で、小児がん医療費とがん制圧の一助にと10億円の寄付を申し入れたものです。このとき新聞やテレビで大きく取り上げられ、小児がんに対する世間の反響を呼び、国の援助への動きにつながったと言われています。現在では、当社のイメージキャラクターである『ハローキティ』が子ども病院や小児科病棟などを訪問し、入院中の子どもやその家族を応援する活動を行っています。当社では、こうした取り組みを今後も継続していくと共に、活動の重要性を社会に発信していくことも重要であると考えています。資産運用面においても、債券投資を通じて『障がい者』や『子ども』への支援の取り組みができれば、当社のCSR活動の推進力をより高めることができると考えています」。
2020年、フコク生命は世界銀行が発行する「障がい者支援」に資金使途を限る世界初の債券に投資した。フコク生命は早くから障がい者の支援に取り組む一方、世界銀行も国際機関の中ではいち早く「障がいと開発」分野に取り組んできており、まさに両者の共通の願いを込めて発行された特別な債券であり、総額7,000万米ドル(約76億円)の全額をフコク生命が購入。債券投資を通じて、障がい者支援の重要性を発行体と投資家が共に提起する初めてのケースとなった。

PROFILE

成江 新吾Shingo Narue
有価証券部
資金債券グループ
2000年入社

入社後、千葉支社で契約書類の確認業務や営業所のサポート業務などを4年間担当。2004年に有価証券部債券課(現・有価証券部資金債券グループ)に異動し、国内債券の運用を担当した。2009年から日本政策投資銀行のシンガポール現地法人に出向し、2年の出向期間終了後は、フコク生命のシンガポール駐在員事務所の設立に携わる。駐在員事務所を現地法人化した後、帰国、有価証券部に戻り、現在は国内外の債券運用に辣腕を振るう。